憲法記念日

 憲法改正論議が一時より下火になる一方で、専守防衛+国際協力の範囲内では軍事への依存が広く容認され、9条の解釈改憲に抵抗する力はむしろ弱まっている。また、「世襲」国会議員に対する立候補制限は参政権の危機、法律の専門家ではない裁判員に合わせて裁判実務を簡素化する司法改革は裁判を受ける権利の危機と認識されるべきだが、いずれも大した批判も受けずに世に受け入れられつつある。つまり、憲法の、その本質的内容としての人権保障の理念は、ほとんど忘却されようとしている。いったい誰が「権利ばかりで義務がない」とこの世相を批判できようか。権利のことなど、誰も真剣に考えていないではないか。