2006-01-01から1年間の記事一覧

教育基本法改正

ついに教育基本法が改正された。制定以来,戦後教育の基本を支えてきた法律の初めての改正。国会の外に,積極的な賛成派は決して多くなかったが,結局は関心が集まらず,反対意見も小さなまま,実にあっけなく,改正されてしまった。 このあっけなさには,2…

「いじめ」

「いじめ」の問題に注目が集まっているときなので,簡単に触れておく。 「いじめ」と括られる行為の中には,傷害,暴行,強姦,脅迫,強要,窃盗,恐喝といった「犯罪」が多く含まれる。これらの行為が「やってはいけないこと」だということについては争いが…

核保有合憲説?

自民党の政調会長がこの時期に核保有論を口にしたことで様々な反響をよんでいるが,政府・自民党の憲法解釈の延長線上に核保有合憲説が控えていること自体は,そんなに驚くべきことでもない。 そもそも政府の憲法解釈によれば,日本国憲法9条が禁止している…

日の丸・君が代強制通達違憲判決(2)

「生徒に日本人としての自覚を養い,国を愛する心を育てるとともに,国旗・国歌に対する正しい認識を持たせ,それらを尊重する態度を育てるのは重要なことだ」 「しかし,懲戒処分をしてまで起立させ,斉唱させることは,行き過ぎた措置である」日頃,市民感…

日の丸・君が代強制通達違憲判決

卒業式や入学式などで、日の丸に向かって起立し、君が代を斉唱するよう義務付けた東京都教委の通達は違憲違法だとして、都立学校の教職員ら401人が義務がないことの確認などを求めた訴訟で、東京地裁は21日、原告全面勝訴の判決を言い渡した。難波孝一…

ビラ配布事件

マンションのドアポストに共産党のビラを配布していた住職が逮捕された事件で,東京地裁は昨日,無罪判決を言い渡した。「言論の自由が守られた」と評価する声も聞こえるが,そんなに単純な話でもない。まず,マンションの廊下など共用部分は公共空間ではな…

「靖国社」

麻生太郎外務大臣が今日発表した靖国神社「国営化」私案は,靖国神社を非宗教法人化することによって政教分離原則に「抜け道」を作ることができると考えている点に大きな問題がある。 別の話題で注目を集めている「摂理」が宗教法人でないことからも明らかな…

「再チャレンジ」(2)

安倍晋三は今日,経団連の御手洗会長と会談し,「再チャレンジ」政策への協力を要請した。具体的には,中途採用枠の拡大や産後女性の再雇用等を要請したらしい。一度「外れた」人が「再チャレンジ」できるよう「席を用意してほしい」ということだろう。 これ…

「再チャレンジ」

次期首相候補最有力の安倍晋三が,「格差社会」批判に対する回答として用意したキャッチフレーズが「再チャレンジ支援」である。これは,競争社会においては,「勝ち組」と「負け組」が一回戦で確定するわけではなく,二回戦も三回戦も四回戦もあり,戦いは…

昭和天皇発言メモ

A級戦犯の合祀以後,昭和天皇は靖国神社を参拝しなくなった。その理由について,ひとつの有力な証拠となる「宮内庁長官メモ」が公表されたことは,主に保守派の靖国論に一定の影響を及ぼし,分祀論者を勢いづかせる可能性がある。 但し,気をつけなければな…

医療扶助廃止

生活保護申請者で,自治体の医療助成制度などを活用しても生活が苦しい人は,社会福祉事務所などで発券する診療依頼書を持参すれば,窓口負担ゼロで診療を受けられるようになっている。この制度を医療扶助という。生活保護予算のほぼ半額(2006年予算で1兆4…

北朝鮮ミサイル発射実験

落ちついて考えたい。北朝鮮がミサイル発射実験を行い,その全てが日本海のロシア寄りに落下した今回の出来事から,何が言えるか。ひとつは「日本に実害があったかといえば幸い何もなかった」ということであり,もうひとつは「こんな危なっかしいことは絶対…

滋賀県知事選

全く注意を払っていなかったので驚いた。滋賀県でいったい何が起こったのだろうか。自民・民主・公明の推薦を得た現職候補を破って,社民党が支持する新人候補・嘉田由紀子氏が当選を果たした。 嘉田由紀子氏は京都精華大学・環境社会学科の教授で,琵琶湖研…

国民投票法案上程(2)

自民党案よりは民主党案のほうが「まし」だと思う。その理由は,以下の2点。 自民党案は,公務員の投票運動を過度に広汎に制限している。 「過半数」の分母を,自民党案が「有効投票総数」としているのに対して,民主党は「投票総数」としている。 しかし,…

国民投票法案上程

以下,民主党談話。 民主党憲法調査会長 枝野 幸男 民主党は26日午後、国民投票法案(「日本国憲法の改正及び国政における重要な問題に係る案件の発議手続及び国民投票に関する法律案」)を衆議院に提出しました。法案は、日本国憲法第96条に定める憲法…

自民党新憲法草案(6)

第4章(国会)の改正は小幅で,国会制度の大枠はほとんど変わらない。 注意すべき点は,内閣の解散権を明記したこと(54条),大臣の出席義務緩和(63条2項),政党条項の追加(64条の2)に加えて,定足数条項の変更がある。 56条2項 両議院の議…

“愛国心”

教育基本法改正に関連して,“愛国心”という概念をめぐる様々な見解が飛び交っている。気になるのは,愛国教育への懸念に配慮して,「愛国心といったときの“国”とは,国家・政府という意味ではなく,郷土や文化・伝統のことである」というような説明がなされ…

『憲法とは何か』

岩波新書が新赤版1000点を機に装丁を少しだけ変えた。そのリニューアル第1弾の中に,長谷部恭男『憲法とは何か』がある。 いま憲法の本といえば,改憲派・護憲派の改正論議に参戦するものと思われやすい。もちろんこの本も,立憲主義の意義を再確認する…

自民党新憲法草案(5)

「家族生活における個人の尊厳と両性の平等」を定めた24条については,呼称を「婚姻及び家族に関する基本原則」と変更し,やや色を薄めたものの,条文そのものには手をつけなかった。家族擁護責務の“加憲”を見送ったことと合わせて,正しい判断と評価した…

自民党新憲法草案(4)

15条から17条の参政権条項については若干の語句整理のみで,内容的には手をつけていない。一方,18条から23条の自由権条項については,いくつかの重大な変更がある。 第19条(思想及び良心の自由) 思想及び良心の自由は,侵してはならない。第1…

皇室典範改正論議

皇室典範の改正をめぐる議論の中で最も気になることは,女帝容認/慎重の立場に関わらず,「こういう問題を政局にしてはならない」というような発言が繰り返され,どこか「遠慮」した空気が全体を覆っていることである。 天皇制のあり方について議論すること…

非武装平和主義政党の復活

社民党は今日の常任幹事会で,党の基本政策を「自衛隊合憲論」から「自衛隊違憲論」に戻し,自衛隊の縮小・改編を通じて「非武装国家」を目指す方針を確認した。これは,村山内閣当時の「転向」を完全に否定するもので,きわめて重大な路線(再)転換となる…

社共共闘

ライブドア事件の過熱報道に隠れてしまったが,昨日の国会で,共産党が社民党に「改憲阻止共闘」を呼びかけ,社民党もこれを基本的に受け入れるという「歴史的」な出来事があった。近く,社共党首会談を行って「正式合意」するという。70年代の「革新統一…

2005年の10大ニュース

総選挙(小泉圧勝) 自民党新憲法草案発表 靖国参拝違憲判決(大阪高裁) 郵政民営化法成立 京都議定書発効 第2期ブッシュ政権発足 ロンドン同時爆破テロ フランス移民暴動 欧州憲法批准否決(フランス・オランダ) 障害者自立支援法成立 戦争も格差も「し…