2005-01-01から1ヶ月間の記事一覧

北朝鮮民主化計画

社会学者・大澤真幸は,新刊『現実の向こう』(isbn:4393332288)の中で,約100頁を割いて「憲法の話」をしている。「ただ消極的に護憲を叫ぶのではだめ」という立場から,「日本国憲法の根本的な弱点」をはっきりさせた上で,いくつかの「積極的」な提案をし…

沖縄靖国訴訟

今日の那覇地裁判決は,参拝の「公的性格」や「宗教性」を審査することなく,きわめて「簡単」に,首相の靖国参拝が原告の「信教の自由」を侵害したとはいえないと判断した。全面的な原告敗訴である(http://www.tokyo-np.co.jp/00/sei/20050128/eve_____sei…

東京都国籍条項訴訟

東京都が在日韓国人2世の職員(保健師)に対して,「国籍」を理由に管理職試験の受験を拒否した事件で,最高裁は都の判断が法の下の平等を定めた憲法14条に反するものではないとして,外国人の公務就任権に関する地方自治体の裁量権を幅広く認める,「合憲…

淫行処罰規定

中学生以下の性交渉を条例で「禁止」するかどうかを検討していた東京都青少年問題協議会が,緊急答申をまとめた(http://www.mainichi-msn.co.jp/search/html/news/2005/01/25/20050125ddlk13010246000c.html)。 一律禁止は見送ったが,大人と青少年(18歳…

毎日新聞による論点整理

通常国会召集の今日,毎日新聞は見開きで「どうなる憲法改正」という特集を組んだ。それによると,国会における憲法論議の焦点は,以下のようにまとめられる。 9条改正の条件闘争 「国際貢献」の明記については自民・民主・公明が一致。 海外での武力行使を…

中曽根試案

中曽根元首相が会長を務める世界平和研究所は20日、全116条からなる「憲法改正試案」を発表した。天皇を元首と定めたほか、焦点の9条改正では、「戦争放棄」は維持しつつ、防衛軍の保持を明記、国際貢献活動への防衛軍の参加を認めた。中曽根氏は自民…

逃避としての改憲論

国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)から難民(マンデート難民)と認められる一方、日本政府には認定されずに支援を求めていたトルコ国籍のクルド人、アハメッド・カザンキランさん(49)と長男ラマザンさん(20)が18日、法務省入国管理局によっ…

1995年以後

すっかり忘れていたが,明日1月17日は阪神大震災の日。あれから10年経ったことになる。1995年といえば,私が大学を卒業して就職した年でもあり,個人的にも,ひとつの大きな節目の年だったような気がする。 あれから10年の間にあったことを,「憲法問題」に…

教育基本法

すべての法律は憲法の下位法であり,憲法に反する法律は存し得ないが,教育基本法ほど日本国憲法の「精神」をよく反映した法律もない。特にその「前文」「第1条」「第2条」は,法律の一般的に抱かれるであろう冷たく味気ない文章というイメージとは正反対…

尊厳死

自民、公明両党は9日、死期が近く回復の見込みがない患者に積極的な延命治療を施さない「尊厳死」の容認に向けた与党協議機関(会長、丹羽雄哉元厚相)を近く新設し、法整備やガイドラインづくりに着手する方針を固めた。尊厳死は現在法律上の規定がないが…

戦争放棄は堅持?

東京新聞(http://www.tokyo-np.co.jp/00/sei/20050109/mng_____sei_____001.shtml)によれば,自民党は憲法改正草案の安全保障分野で,「戦争放棄」「自衛権」「国際貢献」の3項目を明記する方向で調整に入ったという。 日本国憲法 9条 日本国民は,正義…

国民投票法案(2)

「憲法調査推進議連」(http://www1.sphere.ne.jp/KENPOU/)が2001年に作成した「日本国憲法改正国民投票法案」は,だいたい以下のような内容になっている(今度の国会に与党が提出する法案は,この議連案をベースにしているというが,全く同じなのか,ある…

国民投票法案

日本国憲法の改正手続は,96条によって以下のように定められている。 日本国憲法 96条 この憲法の改正は,各議院の総議員の3分の2以上の賛成で,国会が,これを発議し,国民に提案してその承認を経なければならない。この承認には,特別の国民投票又は国会…

自衛隊の海外活動

思いっきり素朴に言ってしまえば,多くの人が「平和に暮らしたい」と思っている。だから日本国憲法前文にある「平和のうちに生存する権利」を国家が保障してくれるというのなら,「なかなかいい国じゃないか」ということになるだろう。 しかしそのために「陸…

目的効果基準(2)

「津地鎮祭訴訟」で最高裁が示した「目的効果基準」は, 目的が世俗的で, 宗教に対するプラス/マイナスの効果がないとき, 国家と宗教の間に「関係」があってもそれは「合憲」だとするものである。 確かに国家と宗教の間に一切の「関係」を認めない「徹底…

目的効果基準

今日は憲法の教科書を開いて,政教分離に関するリーディング・ケース「津地鎮祭訴訟」の最高裁判決を確認しておきたい。 1965年,三重県津市が体育館の起工式で行なわれた神式の地鎮祭に公費(7663円)を支出した。ある市議会議員を中心にした市民グループは…

宗教的活動

今日,小泉首相が伊勢神宮を参拝した。靖国神社の場合と違って,これはあまり騒がれないが,もしもこれが「公的」参拝なのだとすれば,やはり政教分離原則に反するものだと思う。 戦争責任の問題が絡んで複雑な靖国論争に比べると,伊勢神宮の場合は,そもそ…

政教分離

自民党が昨年11月に発表し(党内事情によりすぐに撤回し)た「新憲法草案大綱の素案」には,修正すべき権利規定として,「政教分離」が掲げられている。この素案の前提となる自民党憲法調査会による「論点整理」には,「政教分離規定(現憲法20条3項)を…

靖国参拝

昨年は元日に「初詣」と称して靖国神社に参拝した小泉首相だが,今年は見送った。中国への配慮と言われている。しかし問題はそう単純でない。「中国の圧力に屈する」首相の姿が,「日本国民」のナショナリズムを刺激して「反中感情」を高めてしまう可能性が…

「書いて考える」

大江健三郎は昨年秋に刊行した『「話して考える」と「書いて考える」』(isbn:4087747271)において,インタビュー・対談・討論・座談会といった「口頭表現」が日本の出版界の大部分を占めていることと,小泉純一郎・石原慎太郎・田中真紀子らの人気を関連付…