民社国連立政権

 今回の政権交代政党政治史的に見れば、1998年以来11年ぶりの、社民主義勢力を含む連立政権の誕生ということになる。1998年とは、「自社さ連立」が解消された年である。内閣としては、1996年11月に終了した第一次橋本内閣以来13年ぶりに、社会党社民党系の議員が入閣する久々の内閣となる(第二次橋本内閣において社さ2党は閣外協力)。
 1996年に鳩山由紀夫菅直人が代表となって民主党が結成された。そのとき、社民党から大量の議員が民主党に合流した。輿石東赤松広隆鉢呂吉雄大畠章宏岡崎トミ子といったメンバーだ。いま衆議院議長候補として名前が挙がっている横路孝弘も、旧社会党から北海道知事を経て民主党結党に参加した。
 一方、残されたメンバーが社民党を継承し今に至る。つまり今回の民社国連立政権は、1996年の分裂以来13年ぶりに、社会党社民党系の議員たちがひとつの政権の中に合流するという点でも、歴史的な意味を持つ。
 連立協議の中で、民主党社民党の外交や安全保障に関する立ち位置の違いが強調されたが、民主党の中にも、横路孝弘を代表格とする護憲−平和主義勢力が連綿と存在し続けていることを忘れてはいけない。
 今後の焦点は、民主党社民党の関係ではなく、「民主党右派+国民新党」と「民主党左派+社民党」の間に働く力学である。選択される政策路線がどのあたりに落ち着くかにより、この政権への評価が変わっていくことは当然であり、有権者は次の総選挙までの間、そのことを(それぞれの立場から)注視しておく必要がある。
 
 今回の政策合意で、特に前向きに評価したい点を列記しておく。

  • 消費税率据え置き(税の逆進性を強めない方向として支持)
  • 保育所の増設・学童保育の拡充・高校教育の無償化(育児・教育の社会化を促進する方向として支持)
  • 介護労働者の待遇改善(介護の社会化を促進する方向として支持)
  • 派遣労働者保護法・最低賃金引き上げ・正規/非正規間の均等待遇(労働者の権利を擁護する方向として支持)
  • 軍縮核兵器廃絶(平和主義外交を推進する方向として支持)