差別表現

先日,自由が丘のある飲食店で,「2人組の外国人に注意」と大きく書かれたチラシが店内に貼ってあるのを見た。近隣で発生している,商店のレジ金銭を狙った窃盗事件の「犯人像」を示したもので,書き手は碑文谷警察となっている。
外国人でもないのに,なにやらとてもイヤな思いがした。これを外国人が見れば,もっとイヤな思いをするだろう。仮に犯人が事実として「2人組の外国人」であっても,この書き方はあまりに差別的ではなかろうか。
そう思ったので,警察に意見を申し上げることにした。碑文谷警察のホームページにはメールアドレスがなかったので,警視庁のホームページから意見メールを送信した。そこでは「電話番号必須」とあったので,電話番号も記入して送信した。「表現が差別的なので,修正・回収してください」と。
すると翌日,碑文谷警察から自宅に電話がかかってきた。不在だったので,留守電に残されていた。「メールをいただいた件で,お話したいことがあります」と。次の日にも同様の電話。私は昼間仕事をしているので,電話を受けることができない。その旨だけでも伝えようと思い,夜,碑文谷警察に電話をしてみた。担当者は既に帰宅していたので,伝言を頼んだ。
それでも翌日,また同様の電話があった。このまま毎日,留守電に吹きこむだけの仕事を続けるつもりだろうかと半ば呆れたが,そういうきまりになっているのだろう。
幸い,今日は私が午後からの出勤だったので,午前中に,碑文谷警察からの電話を受けることができた。説明内容は以下の通り。
・あのチラシは去年,碑文谷警察が作成し,商店街などに配布したもの。
・検挙はできていないが,被害発生回数は激減しているので回収した。
・回収漏れがまだあったのだろう。
・再度,回収指示を出した。
・また漏れがあるといけないので,どこで見たのか詳しく教えて欲しい。
以上。差別表現の問題には全く触れなかった。
そこで一言差し挟んで「議論」に持ち込むことも不可能ではなかったろうが,向こうもこちらの意見内容を知った上で敢えてそこに触れずに済ませようとしているのだから,言ってもマニュアル通り「適切に処理」されるだけだろうと思い,電話を切った。
こちらの意見にまっすぐ向き合った回答ではなかったが,警察も一通の意見メールを無視して済ませるわけにはいかないようで,つまり,このような意見が多数押し寄せれば,警察も「余計な仕事」の発生量に嫌気がさして,はじめから表現に注意するようになるかもしれないと思った。声をあげることは,無駄じゃないし,そんなに難しくもない。