選挙制度(3)

ドイツの「大連立」が決まり,比例代表制を中心にした選挙制度のマイナス面が問題になる中で,イタリアはなんと,下院の選挙制度を「完全比例代表制」に戻すことにした。
イタリアの場合は,左翼民主党(元イタリア共産党)が,「比例代表制は左派の分裂を助長するにすぎない制度」だとして小選挙区制の導入に賛成し,90年代(日本とほぼ同時期)に,比例代表制から小選挙区比例代表連用制へと制度を変更した経緯がある。
今回は,右派与党の主導で比例代表制への回帰が決定された。日本の事情とはだいぶ違うのでわかりにくいが,結局は少数派の分離−排除が目的だと考えられる。しかし,比例代表制には本来,少数意見を議会に反映させるというプラス面もある。各政党がどのような選挙戦を展開するかによって,結果は大きく変わってくる可能性があり,右派与党の目論見通り事が進むかどうかは未知である。採決をボイコットした左翼民主党を始めとする野党には,制度変更による不利益を最小限に食い止めるための「知恵」が求められることになる。
いずれにしても,来年4月に予定されているイタリア総選挙は要注意だ。