議員特権批判?

 建て替え中の衆院赤坂議員宿舎(東京都港区)の完成を春に控え、若手議員を中心に入居を見送る動きが広がっている。国会に近い都心の一等地で、民間の5分の1と言われる低家賃が「議員特権」批判を浴びているためだ。民間マンションを借りるのを検討したり、あえて古い別の議員宿舎に移る議員もおり、衆院議員480人のうち300人が入居可能な同宿舎が定員割れになる可能性も出てきた。
 赤坂宿舎は地上28階・地下2階建て、全室3LDK(約82平方メートル)の高層マンション。民間の相場で月45万円はすると言われる家賃が月約9万2000円に設定され、テレビのワイドショーなどで批判を浴びている。(毎日新聞

新しい議員宿舎の家賃が安すぎると(どういうわけだか)批判され,自民党は家賃の値上げを検討しているという。家賃が相場程度に高ければ,それでいいのかと問いたい。
国会議員にしっかり働いてもらうため,国会議事堂から遠くない場所に宿舎を用意することは,あっていい。特に,地元との二重生活を成り立たせるための潤沢な資金がなければ議員になれないというような「偏り」がないほうがいいという観点からも,それを安価(あるいは無料)で提供することに,意義がある。
逆に,高い家賃をとって議員宿舎に住まわせることに,どれほどの意義があるだろうか。議員歳費のうちに家賃の占める割合が高くなれば,議員活動が不活性化するか,あるいは,歳費以外の経路で資金を集めることに躍起になるばかりで,有権者にとってほとんど利はないと予測する。
むしろ在任中の生活をしっかり保障して,国会議員としての(本来の)仕事に専念してもらうことを促すべきではないだろうか。お金のことばかり気になって,立法活動や国会審議に集中できないのでは困る。
もちろん,宿舎の建設そのものに無駄使いがなかったか,という観点からの検討は別途必要だ。しかし,それと家賃の高い低いは関係ない。
今回の批判が盛り上がる背景に,国会議員に対する不信があるのは間違いない。大した仕事もしないくせに特権ばかり享受しやがって,という発想だろう。
国会議員には,高い家賃を払うことや,宿舎への入居を遠慮することではなく,有権者から信頼され尊重されるような仕事ぶりをみせることによって,批判への回答としてほしい。