憲法選挙?

国民投票法が成立し,自民党は新憲法草案を掲げて参院選に挑むという。これに対し,民主党は,年金・医療・介護・地域間格差・雇用の方がはるかに切実な問題だとして,憲法問題については「テレビなどで聞かれれば答える」程度にとどめるという。思い出すのは「郵政選挙」。あのとき,郵政民営化に並々ならぬ熱意を傾けた小泉に対し,やはり民主党は,「郵政だけが問題じゃない」といって正面衝突を避けた。避ければ争点が萎むかといえば,そうでないことはあの選挙が証明している。今回も民主党は,安倍の改憲に対する並々ならぬ熱意が日増しに膨れ上がっていくのを,止めることができないままに投票日を迎えることになりはしないか。「熱い」ほうに支持が流れる可能性が高い。逃げていては,水も挿せない。
参議院議員の任期は6年。今回の選挙で選ばれる議員が,憲法改正の発議に関わる可能性はきわめて高い。だとすれば,各候補者が,日本国憲法をどう評価しているのかはっきりさせた上で信を問うのが筋であろう。しかも国民投票法は,個別発議を前提にしている。「改憲か護憲か」という大雑把な議論ではなく,「○○を改めなければならない」「○○を護らなければならない」と,具体的かつ現実的な争点を作ってわかりやすく示すことが,安倍「改憲ムード選挙」に対抗するための有効な手段ではないかと思う。